カーナープロダクトマンスリーコラム

【海外展開支援】新型コロナウイルスが中国人の購買行動に与えた影響

「疫情」(イーチン) 
新型コロナウイルス感染症が蔓延してから、頻繁に使われるようになった「疫情」(イーチン) と言う言葉は、ある意味で現在の中国の世情をひと言で表現しています。Google翻訳では「伝染病」と訳されますが、現地でこの言葉の意味は広く、日本語で直接該当する単語はありません。新型コロナウイルスに関係したあらゆる情勢、社会動向、人々の生活包含した言葉で報道や、日常会話で毎日用いられます。感染症が蔓延する前にはほとんど聞く機会がなかったこの言葉を、これほど急激に耳にするようになったことを考えると、パンデミックが人々の生活や考え方に、どれほど大きな影響与えているかを考えさせられます。実際、2020年の初めに新型コロナウイルスが確認され、武漢で都市封鎖行われて以来、現在に至るまでこの未知のウイルスの影響から完全に逃れられた人は一人もいません。それでも、柔軟でパワーあふれる中国の政府や人々は、この「疫情」(イーチン)をうまく利用し、新たなビジネスを生み出しています。これこそ中国のエネルギー、中国の底力であり懐の深さを感じます。

「疫情」と政府
中国では全国民のスマートフォン化と「ヘルスコード」登録が、ほぼ強制的に義務付けられています。この取り組みの効果は絶大で、何十年も身を隠してきた犯罪者が、突然摘発されるといったニュースが頻繁に報道され、一般市民からは歓迎されています。このシステムの驚くべきは、「ヘルスコード」が独立したシステムではなく、あらゆる情報と連動しているということです。決済システムアプリ「アリペイ」または「WEチャット」と紐付けされ、銀行口座の情報や身分証明書などの個人情報と連携しています。更に、チャット機能を使って、「誰と」「どんな会話をしたか」も情報として吸い上げられます。加えて、ECで何を購入したか、「美团(日本で言うUBER)」で何を食べたか、自宅や会社の住所、どこに荷物を送ったのかなど、個人の生活情報全てが「ヘルスコード」に繋がっています。ある意味で日常生活の全ての情報が、ヘルスコードによって収集されていることになるのです。日本でこれだけの情報が政府に管理されるとすれば、お騒ぎになるでしょう。しかし中国人はいたって平然としています。誰も、気にするそぶりはありませんし、大騒ぎもしません。これは単に社会主義国という政治形態の特徴というよりは、「疫情」を利用した中国政府の戦略勝ちという印象があります。「バラバラのアプリより、ヘルスコードで何でも出来る方が便利!」「市民の利便性を優先します」と言うメリットを全面に出し、「大切な個人情報は国が責任もって管理させていただきます」という展開の仕方なのです。それで、多くの人はメリットに目が向き、抵抗なくこの仕組みを受け入れているのです。「疫情」を利用して、情報を一括管理する手法に中国らしさを感じます。急激に浸透したヘルスコードが今後どのような展開を見せるのか目が離せません。
「疫情」とビジネス
「疫情」は既存のビジネスを破壊し新たなビジネスを創り出しています。多くの企業は、爆発的な感染拡大により強制的に営業停止に遭ったり、または仕入れ販売ルートが防疫検査により麻痺してしまったりするなど、予測不能なコロナ対策に振り回され倒産を余儀なくされています。それでも、「たくましい中国人」はめげません。具体的な取り組みとその特徴を幾つか紹介します。


「疫情」とビジネス
「疫情」は既存のビジネスを破壊し新たなビジネスを創り出しています。多くの企業は、爆発的な感染拡大により強制的に営業停止に遭ったり、または仕入れ販売ルートが防疫検査により麻痺してしまったりするなど、予測不能なコロナ対策に振り回され倒産を余儀なくされています。それでも、「たくましい中国人」はめげません。具体的な取り組みとその特徴を幾つか紹介します。

⑴転換の速さ:コロナ前には事業で成長していた経営者が、事業が立ち行かなくなり、これまで所有していた超高級外国車に乗って、個人タクシーを開業している様子を見かけます。持てる資産を使って、コロナ禍でできることをして再起のチャンスをうかがっています。配車サービスアプリを使って予約すると、ハイクラスのベンツやBMWが迎えに来て、目的地に連れて行ってくれることも日常茶飯事です。驚くべきことに、転身した経営者からは悲壮感が感じられません。運転しながら、新型コロナウイルスでどんな経験をしたのか、「挫折物語」を延々と話し続け、かえって楽しんでいるようです。こうした転身の速さは、中国ビジネスマンの特徴と言えるかもしれません。

⑵順応性とインターネットの活用:「疫情」に素早く適応し店舗での販売からネット通販事業に業態転換し大成功した、たくましい経営者もいます。このコロナ禍で、衣料品や美容品の業界は大打撃をうけました。しかし、多くの企業や商店がライブ動画配信を活用したインターネット販売に取り組んでいます。「疫情」をきっかけに自宅や店舗で一式2000円程度の安価な機材に、スマートフォンをセットして、自分でプロモーションし、自分でモデルになり、その場で値決めをして販売します。日本で言うテレビ通販を自分で立ち上げてビジネスをしているようなものです。この販売手法の効果は絶大で、店舗販売の何百倍もの売上を上げ一日で数千万円も稼ぐ有名インフルエンサーも存在します。新たな販売チャネルがこれほど急激に立ち上がり、成長を続けるのも中国人の順応性やビジネスにかけるエネルギーの所産なのです。 ShanghaiSRRK

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