イノベーションと聞くと「製品」のイノベーションを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん企業の競争力を高めるためには、「製品力は不可欠です。しかし、ハード面のイノベーションは、一時的な成果を生み出すに留まり、継続的に成果を上げ続けることはできません。例えば、圧倒的に優位な製品を生み出したとしても、模倣品や代替品によって優位性はいずれ失われます。一部の天才が考えた素晴らしい商品も、製品ライフサイクルの流れと共に、いつか必ず衰退するからです。こうした優位性の喪失を避けるためには、組織と人材のイノベーションが求められます。「優位な製品を生み出す」ことよりも「継続的にアイディアが生まれる仕組みや組織」「イノベーションを実現する人材を育て続ける」ことが重要なのです。組織や人のイノベーションの難しさは次の2点です。
①ゴールが見えにくい:ハード面でのイノベーションと異なり、何を目指すのかを提示しにくく、ゴールイメージが組織内で異なる危険性があります。イノベーションの必要性は理解しても「重要度」や「具体的な結果」の共有ができないなら取り組みは空中分解しかねません。
②短期視点に逆戻りしてしまう:組織や人材のイノベーションには中長期で取り組む必要があります。しかし、毎年の予算や次の新商品発売等、短期的な視点に陥ってしまい、小手先の行動に走る危険性があります。経営層も、中間管理職も「短期の取り組み」と「中長期の取り組み」を整理し優先順位を付けて行動することが重要です。組織と人のイノベーションを実現するには、時間と労力が求められます。しかし、その成果を永続し、真に強い企業体質と「新たな文化」や「価値観」の創出につながるのです。
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