営業部門の役割は顧客の創造です。顧客が気づいていない潜在的な課題やニーズを解決することで、新たな市場機会を生み出すことが求められているのです。
既存商品を活用して、既存市場だけで顧客を創造し続けることはできません。顧客を起点とした発想と行動により、新たなイノベーションを実現し、新しい市場と新しい顧客を創造し続けることが重要です。では、営業部門はどのようにイノベーションに貢献できるのでしょうか?二つの点を考慮してみましょう。
①顧客起点の価値観を生み出す 多くの営業担当者は「顧客価値」ではなく、自社と自分自身の価値を優先させます。顧客価値に貢献するよりは、「社内の会議で責められない」「給料が上がる」といった利己的な動機で考え、行動します。この場合、営業が収集する顧客情報や課題は、自社や自己を起点とした発想に基づいて収集されます。当然顧客の「真の声」が把握できず、全てが後手に回り、競合他社や海外メーカーとの競争に「ゆっくり負けて」行きます。
また、「顧客の言いなりになり上司とぶつかったり、予算の設定の仕方に意義を唱えることが顧客目線だ」と勘違いしている営業担当者も少なくありません。この場合も、交渉のための顧客のトークが、真のニーズであるかのように扱われ、方向性を誤る可能性があります。
②潜在課題やニーズ イノベーションによる「顧客創造」は、思い付きや発明とは異なります。顧客の課題に基づいた、新しい価値の創造だからです。営業部門は顧客接点の役割を果たします。その点で、顧客課題を把握する最も効果的な部門です。「売る」という機能だけではなく、「情報を集める」という機能を持つことが、イノベーションに直結するテーマや潜在課題を見い出すカギなのです。顧客を起点としたイノベーションは、技術や製品だけではなくマネジメントやビジネスモデルの変革にも役立つのです。
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